歳時記

直感に従う

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 私は、直感で動く人間である。
 愚妻は、
「ワガママなだけよ」
 と冷笑するが、それは違う。
 目に見えない「何か」は確かに存在する。
 それを「運気」と呼ぶか「勘」と呼ぶか、あるいは「虫の知らせ」と呼ぶかはともかく、人間には何かを予知する能力があるのだろう。
 昨夜のことだ。
 夜の9時過ぎに稽古が終わり、道場のシャッターを閉めようと思ってカギを手に取ったのだが、ふと誰かが来そうな気がした。
(そんなバカな)
 と苦笑したが、何しろ直感で動く人間だ。
 シャッターを閉めるのは後回しにして、道場の床を拭き始めたところが、
「今晩は」
 と若者が入って来たのである。
 昨夜、外国人と日本人の若者が体験稽古に来たので、彼らが引き返してきたのかと一瞬、思ったが、違った。
 小・中学と稽古に来ていたI君だった。
 さて、何年ぶりだろう。
「通りかかったら、道場の灯りがついていたので」
 と言う。
 アメリカに留学していたそうで、また空手の稽古を始めたいとのことだった。
 1時間半ほど話し込み、楽しかった。
 と同時に、「誰かが来そうな予感」はどこから来たのだろうかと、不思議に思ったのである。
「直感は過たない。過つのは判断である」
 というギャンブルの格言があるが、なるほど、と感じ入った次第。
 一昨日は映画『ジェラシック・ワールド』を観に行った。
 今日は東京都美術館へ出かける。
 〆切が続いていて、それどころではないのだが、これも直感に従っての行動である。
 何かがあるような気がするのだ。

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