歳時記

観葉植物が枯れて、愚才が怒る

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「何度、言ったらわかるのよ!」
 愚妻が怒った。
 道場の一隅にある仕事部屋には、鉢に入れた観葉植物がたくさん置いてあるのだが、そのうち2鉢ほどが、またまた枯れたのである。
「水をやりすぎちゃダメって、あれほど言っているじゃないの」
 と、枯れるたびに愚妻が怒るのだ。
 愚妻は植物が大好きで、わが家のささやかな庭は、植木に花に足の踏み場がないほどである。
 だから、仕事部屋の植物を枯らすと怒るのだ。
 で、先程のこと。
 忘れ物をして家を出たので、愚妻に仕事部屋へ届けさせたところが、
「何度、言ったらわかるのよ!」
 ということになった次第。
 だが、私はかねて、水をやりすぎて枯れるというのがよく理解できないでいる。
 だから愚妻に問うた。
「なぜ、水をやりすぎてはいかんだ」
「いけないに決まってるの」
「だから、なぜいかんのだ」
「そういうことになっているのよ」
「ならば、長雨に濡れる山野の植物はどうするのだ。水のやり過ぎなんてものではない。みな枯れてしまうのか?」
「屁理屈を言ってないで、とにかく水のやり過ぎはダメ」
「しかし、渇水で餓死するより、飽水で死んだほうが植物だって嬉しいのではないか」
「怒るわよ!」
 植物に対するこのやさしさで、なぜ亭主に接しないのか。
 私はただ、首をひねるばかりである。

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