歳時記

風呂とトンカツ

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 肉を食べないと血管が脆(もろ)くなると、愚妻がうるさく言う。
 私が肉を断っているからだ。
 肉を断ったことに意味はなく、いつもの気まぐれだが、すでに1年が経つ。
「勝手にすれば」
 と当初は言っていたが、愚妻が最近、肉と健康のテレビ番組を観たらしく、
「肉も食べなければダメ」
 と、うるさいのである。
 で、今夜。
 あまりにうるさく言うので、
「わかった。ブタを食うぞ」
 風呂へ出かける途中、トンカツ屋へ寄った。
 柔軟性が私の持ち味なのだ。
 特にうまいとも思わないが、満腹になった。
 おかげで風呂に入っていることができず、30分であがって、いま休憩コーナーでこのブログを書いている。
 しかるに愚妻は、長湯をしている。
 同じようにトンカツを食べただけでなく、ジョッキで酎ハイも飲んでいるのだ。
 タフだ。
 本当にタフだ。
 どうやら私のこれからの人生は、愚妻が頼りということになろうか。
 トンカツを食って風呂に入ったことで、私は男の脆(もろ)さというものを、いましみじみ感じているところなのである。

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