歳時記

オバマ人気が教えること

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 米国民の熱狂的な支持を受けて、オバマ新大統領が誕生した。
 就任式では、感極まって泣いている支持者もいた。
 私はオバマ大統領の手腕についてはわからない。
 経済政策がどうあるべきかもわからない。
 今後の見通しとなると、さらにわからない。
 ただ、経済不況と閉塞感にあえぐ米国民が〝救世主〟を求めているであろうことなら、理解できる。
 だから、何かを変えてくれそうであれば、オバマでなくてもよかったのだろうが、「黒人初の大統領」という〝大変化〟が、米国をも変えてくれるのではないかという期待感を、米国民は抱いたのだろう。
 オバマ人気には、米国民の悲壮感が漂っている。
 言い換えれば、歴史をひもとくまでもなく、〝英雄〟は、国民にとって不幸な時代に登場する。
 そして〝英雄〟の多くは、国民の期待が生んだ幻想であり、やがて国民はそのことに気づいて失望する。
 だが国民の叡智は、ここで深く目覚める。
「そうだ、人に頼ったのが間違いだった。幸せは、自分たちの努力でつかむしかないのだ」
 そう気がついて、新たな歴史が始まるのである。
 いま日本は「心の時代」と言われる。
 宗教の時代とも言われる。
 不幸な時代が英雄を待望するように、心を求める時代は、実は不幸な時代ではないのか。
 心、モラル、生き方、福祉などが社会で問われるたびに、私はそのことを思うのである。

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