歳時記

霊園で着替えに難儀

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関東地方は本日、梅雨明け宣言である。
連日の猛暑で、梅雨などあったのかと思っている。

豪雨災害に遭われた方々はお気の毒だが、一方でこの猛暑。
「地球がおかしくなっているのよ」
と、愚妻が自分のことは棚に上げて言っている。

私は汗をかくのは好きだが、濡れた下着でいるのは嫌いである。
誰もがそうだろうが、私は大嫌いなのだ。

だから墓前のお勤めは難儀する。
霊園は直射日光が剃髪の頭にジリジリ。
全身から汗が噴き出す。

それでも、お勤めがそれ一軒であればいい。
二軒でもまだいい。

困るのは、墓前のお勤めが二軒つづき、さらにそのあとお通夜といった場合である。

濡れた下着でいるのは大嫌いなので、着替え一式を用意して出かける。
パンツ、シャツ、ステテコ、半襦袢、白衣、タオル、さらに冷感のウェットタオル。

霊園はだだっ広いので、人気(ひとけ)の無い場所を選び、クルマの中で着替えるのだが、これが意外と見つからないのだ。

なぜなら霊園は、仕事で外廻りする人にとって絶好のサボリ場所らしく、人気がなくて木陰になる場所は、会社名をペイントしたライトバンがエンジンをかけて停まっている。

中で寝ていればいいのだが、新聞を読んだり、スマホをイジっている人もいる。
こっちはクルマの中とはいえ、素っ裸になって着替えるのだ。
ヘタすりゃ、変態と間違われて110番である。
しかも坊主。

マズイだろう。

このご時世だ。
くれぐれも世間の目に注意するよう愚妻にきつく言われている。

それで着替え場所を求め、霊園の中をグルグル回ることになる。
まさかそんなことで坊主の私が難儀していようとは、世間は思いもよらないことだろう。

「山には山の愁いあり」
という『あざみの歌』の一節が脳裡をよぎる。

何事も端(はた)で見るほど楽ではないのだ。

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