歳時記

知人の死

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昨日、午前中は千葉で初盆のお勤めをし、夕刻は都内に出て、知人の通夜に会葬者として参列した。

知人はガンを患っていた。
行年、81歳。
男伊達で鳴らした兄ィである。

「好き勝手に生きてきて、うらやましい人生ですね」
見舞ったときに私が言うと、声を立てて笑った。
それから2ヶ月後。
転院した直後の訃報だった。

この日の午前中の初盆で、故人の妹さんとしばらく話しをした。
昔の苦労話をうかがいながら、
「人生、うまくいかないもんですね」
と私が言うと大きく頷かれたので、
「人生がうまくいかないんじゃなくて、うまくいかないことを人生と呼ぶのかもしれませんね」

そう言い添えると、
「そうね、うまくいかないのよね。私、これからそう思って生きていくわ」
と笑った。

実は、これと同じことを、亡くなったこの知人に何年か前にしたことがある。
「違ぇねぇ」
知人もそのとき愉快そうに笑った。

煩悩と二人三脚で生きるしかない私たちの人生は、満たされることを知らないがゆえに「鼻先のニンジン」を追いかける。
うまくいかないようになっているのだ。
通夜の読経を聞きながら、そんなことを思ったのだった。

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