歳時記

軽々に動かず

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 このごろテレビ司会者の日本語が乱れてきたと、愚妻が今朝、テレビを見ながらケチをつけていた。
「人のことをあげつらう前に、自分のことを振り返れ」
 と、さとしたところが、
「私の場合は、しゃべるのが仕事じゃないから、乱れていてもいいのよ」
 屁理屈ではあるが、一理ある。
「たまにはいいことを言うではないか」
 とホメたら、
「たまにはじゃなくて、いつもいいことを言っているでしょ」
 最近は主客転倒のわが家なのである。
 ここ数日、立ちくらみがする(たぶん)。
 座っていて、急に立ちあがると、頭がフワ~とした感じになるのだ。
 そのことを愚妻に伝えると、
「医者に行けばいいでしょ」
 こともなげいに言う。
「医者に何と説明するのだ」
「そのとおり話せばいいのよ」
「話して、原因がわかるのか?」
「そんなこと、私にわかるわけないでしょ、医者じゃないんだから」
 確かに一理ある。
 今日は午後から整形外科医院だ。
 何とかヒザの調子がもどってきたので、そのチェックである。
 いつも混んでいるので、朝のうちに診察券を入れに行くが、もちろんそれは愚妻の仕事である。
 診察券を入れに行ったり、ガソリンを入れに行ったり、文具店に買い物に行ったり、私の世話をしたりと、単純作業はすべて愚妻の仕事。
 判断力が求められたり、決断したりすることは私の仕事。
 だから、私は軽々に動かないのである。

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