歳時記

加点法と減点法

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 今朝、畑に行って驚いた。
 小カブとチンゲンサイが、同じ畝(うね)に葉っぱを広げているのだ。
「いい加減にタネを蒔(ま)くからよ」
 と愚妻はあきれているが、それにしても、じつによく混ざって生えているのだ。
 あれこれ検証した結果、小カブのタネを蒔いたことを忘れ、チンゲンサイのタネを蒔いたものと結論した。
「どうだ、わしの推理は」
 自慢したが、
「バカみたい」
 やはり、私は草むしりが似合うようだ。
 それで、せっせと草をむしりはじめたが、むしっても、むしっても、剃り残しの髭のように畑を覆っている。
 溜め息をつきながら、ふと草を放り込んだ篭を見ると、草が一杯になっているではないか。
 このとき私は、加点法と減点法ということにハタと気づいた。
 畑の草をむしってきれいにするというは減点法。
「これだけ草を取ったぞ」
 と気分よくするのが加点法。
 人生も同じで、加点法で生きてこそハッピーになれるのではないか。
 そんなことを考えながら、ひたすら草をむしったのである。

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