『男子 三日会わざれば 刮目(かつもく)して見よ』
という言葉がある。
『刮目』は、「目を擦(こす)ってよく見ること」で、
「男は三日も会わないでいると驚くほど成長しているものだ」
という意味になる。
男女同権の現代では、「男子」を「人間」に置き換え、
「志をもって生きている人間は成長する」
と読み解くのが正しかろう。
愚妻が昨夜、一週間ぶりに沖縄から帰宅した。
私は目を擦(こす)った。
「目が痒いの?」
「バカ者! 刮目しておるのだ」
「なによ、それ」
「わからんのか。人間、三日会わざれば刮目して見よと言う。まして、おぬしは一週間ぶりではないか。だから刮目しておるのだ』
「ちょっと、疲れてるんだから、そこどいてよ」
私の〝刮目〟を無視して、居間にどっかりと腰をおろした。
どうやら愚妻は、10年会わずとも、刮目の必要はなさそうである。
愚妻の帰宅
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