歳時記

「ミラーイメージの法則」と「忍耐」

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 忍耐の日々である。
 愚妻に対してはもちろんだが、空手の指導、保護観察対象者への指導・助言など、どれ一つ取っても思うように言うことを聞かず、思わずカッとなるが、ここはググググッと我慢して、
(怒るな、短気を起こすな)
 と、ひたすら忍耐の日々というわけである。
 なぜなら、スポーツ心理学に『ミラーイメージの法則』というのがあり、ネガティブな「思い」はマイナス効果にしか働かないからだ。
 たとえば、「対戦相手の失敗を願う」というネガティブな感情を持つと、自分の精神状態もネガティブになり、筋肉が緊張したり、肩に力が入ったりして、判断力が鈍ったりするのだという。
 スポーツに限らず、
(あいつ、イヤだな)
 とネガティブな気持ちを抱くと、そのネガティブな「気」が相手に伝わって、相手も同じように、
(あいつ、イヤだな)
 と思い、その「気」が卓球のピンポン玉のように行ったり来たりして、双方の気持ちがますますネガティブに落ち込んでいくことになる。
 反対に笑顔で接すれば、双方、ポジティブな「気」になっていくわけだ。
 つまり、自分の感情がミラー(鏡)に写り、ハネ返ってくるというわけで、だから私は怒らず、ほとけ様のような、温和な顔でいるというわけである。
 だが、心理学的にはそうかもしれないが、〝ほとけ様〟になっても、そう簡単にはうまくいかない。
(そういえば3年前に『忍耐学』なんて本を書いたな)
 と、そんなことを思いながら、温和な表情の下で、ひたすら忍耐している今日このごろなのである。

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