歳時記

期待もせず、悲観もせず

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 とうとう海にもプールにも行けなかった。
「泳ぎたい」
 というのではなく、
「泳ぎにも行けないような生活をしてはいけない」
 という思いを、この夏は引きずっていたのである。
 だから、どうしても泳ぐつもりで、クルマに水着や着替え、バスタオル、ビーチサンダルなど一式を積んでいた。
 だが、一式を用意しつつ、
(こりゃ、たぶん泳ぐことはないな)
 という思いがあった。
 何事もそうだが、私の場合、準備万態ととのえると、たいていうまくいかないのである。
 たぶん、
(この願望は叶わないだろう)
 という思いが意識下にあり、その裏返しとして「準備万態」になるのではないかと、そんなふうに思っている。
 だから、力を入れれば入れるほど、成就はしないというわけである。
 言い替えれば、肩の力を抜き、準備もせず、
(まっ、どっちでもいいや)
 と〝いい加減〟に構えていれば、
「ラッキー!」
 ということが起こることになる。
 期待もせず、悲観もせず。
 あるがままを甘受していれば、人生、そうそう捨てたものでないことがわかってくるだろう。
 今日は朝から小雨。
 これから保護司の仕事で、連絡が取れなくなった対象者の居住確認に出かけなければならない。
 そのあとで、投票に行こう。
 選挙は「期待もせず、悲観もせず」とは対極にある。
 神経をすり減らすわけである。
 
 

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