歳時記

習慣の恐さ

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酷暑の時期、車内にETCカードを入れっぱなしにするのは、よくないという記事を読んだ。
ICチップが熱に弱いからだそうだ。

「おまえ、どう思う?」

愚妻に意見を求めると、
「カードは外したほうがいいに決まっているでしょ」
こともなげに言う。

葬儀会場から火葬場まで、交通状況によって高速道路を使用することがあるので、ETCカードが故障するのはマズかろう。
愚妻の意見にしたがい、カードは免許証ケースに仕舞っておいて、必要に応じてセットすることにした。

だが、習慣というのは恐ろしいものだ。

昨日、火葬場に向かって霊柩車の後を追走していると高速道路に入ったところで、
「ETCカードが挿入されていません」
と、けたたましいガイド音声。

セットするのを忘れていた。
エンジンをかけたとき、その旨音声ガイドがあったばずだが、そんなもの、いちいち聞いてはいないのだ。

カードを入れた免許証はポーチごと葬儀カバンの中。
カバンは後部座席なので手が届かない。
咄嗟にETCをさけ、一般入口へ急ハンドルで入った。

幸いにも現金をコンソールボックスに入れておいたので、スムーズに出口を通ることができたが、霊柩車、僧侶の車、一般会葬者の車、バスと隊列を組んでおり、私だけ妙な動きをしたので隊列が乱れたまま火葬場に向かった次第。

初めての経験だった。

帰宅してこのことを愚妻に告げると、
「出発前に入れればいいでしょ」
こともなげに言った。

私としてはカードに限らず、習慣というものの恐さについて注意を喚起したかったのだが、話が通じそうもないのでやめた。

それにしても、もし現金がカバンの中だったらどうなっていただろう。
習慣はホントに恐いのだ。

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