歳時記

そろそろ自粛解禁か

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行きつけのマッサージ店が、営業を再開した。
「今日、行ってみるか」
私が言うと、
「いいんじゃない」
愚妻があっさり言う。

道場の仕事部屋まで3分の距離でさえ、私が着物を着て行くというと眉を吊り上げ、
「コロナで外出自粛のときに着物でフラフラ歩いていると、ヘンな人に見られるわよ!」
声を荒げていた愚妻が、私がマッサージに行くことに反対しない。

なぜか。
ピンときた。
日帰り温泉へいつから行くか、自分の解禁日をひそかに考えているのだ。

マッサージに行くことを反対すれば、日帰り温泉もNGである。
賛成すれば、その逆になる。
だから私に異を唱えない。
こういうのを浅知恵と言うのだろう。

「温泉でコロナに感染などするわけがない」
「ホント!」
喜色を浮かべる。

「だが、脱衣所はわからん」
「たしかに」
気落ちする。

そんなこと私にわかるわけがないのに、愚妻は無責任な私の言葉を自分の都合で解釈し、一喜一憂する。
人間とは何とも愚かなものであるかと、自戒の意味を込め、自粛解禁に思うのである。

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