単衣(ひとえ)の季節になった。
着物を入れ替えなければと思いつつも、面倒なので、同じやつを着て道場の仕事部屋に出かける。
出かけると言っても、自宅から歩いて五分。
ステテコを穿いたり、襦袢を着たり、帯を締めたり。
仕度時間のほうが長いのではないか。
バミューダにTシャツなら、仕度は秒単位である。
だが、バミュータを重宝すると、
「着もしないのに、何枚も着物なんか買うからよ」
と、愚妻が悪態をつくに決まっている。
加えて作務衣も結構ある。
「邪魔なのよねぇ」
と、これも日頃からブーブー言われている。
頑張って着物や作務衣を着ると、天気のいい日は額に汗をかく。
それを見て愚妻は、
「バカみたい」
と嘲笑する。
着なければ悪態、着れば嘲笑。
「王手飛車取り」なのだ。
さて、今日は何を着て行こうかと、わずか5分の道のりに、私は毎日頭を悩ませているのだ。
何を着ようか
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