歳時記

「使いよう」という視点

投稿日:

AIは便利である。
もはやAI抜きでは、どの分野も仕事は進まないだろう。

だが指摘されるように、問いに対して間違った回答をすることがある。

たとえば、ある地方のリゾート開発の経緯と、その地域を通る私鉄の路線延伸について質問したときのこと。

AIがくわしく回答してくれる。
延伸に到る経緯、背景、狙い、開通年月日、それによる経済的効果と周囲の影響などなど。

大助かりである。
が、ちょっと気になり、その私鉄のHPで沿革などファクトチェックしてみると、AIの回答が間違っていた。

そのことをAIに指摘すると、即座に丁重に謝り、なぜ間違いを起こしたについて、これまたくわしく説明してある。

感心しつつ、私が参考になったのは、AIの「説得術」である。

間違った回答であっても、
「なるほど」
と信じてしまう構成力である。

読み手(利用者)が文書を読みつつ抱くであろう、「なぜ?」という疑問を巧みに先取りしつつ、テンポよく展開し、説明していく。
この手法が説得力を生むのだ。

もっとも、これはハウツーものを書くときの基本で、「なぜ?」という疑問を先取りできていない書籍は説得力に欠ける。

そのことを承知してなお、私が感心したのは、「なぜ?」という疑問に答えつつそこから飛躍し、あらたな視点を提示し、さらに引っ張っていく。
この手法が実に巧みなのだ。

たとえば、「なぜその私鉄が延伸を決断したか」という視点から、「当時の日本経済の状況」「日本人の生活状況」「価値観」といったことまで展開していく。

ただ、私のような物書きは、内容だけでなく、AIという書き手の狙いや説得力の手法といったことまで無意識に吟味するので易々とはだまされないが、こうした視点をもたなければコロリといくだろう。
そういう意味で、AIの「説得力」という手法は大いに参考になるというわけだ。

ファクトに問題があるとしても、AIは使い方によっては便利だ。
たとえば企画書など、
「このことを効果的にプレゼンする構成力」
といったことについて質問すると、その回答はとても参考になる。

なぜなら、AIのこの回答は「ファクト」はなく、「考え方」の提示であり、書かれた内容に対して正誤を吟味する必要がないからである。

衆知のごとく、昔から「ナントカとハサミは使いよう」と言う。
どうやら「ナントカとAIは使いよう」という時代になってきたようだ。

AI技術は急速に進展するだろし、私たちにはそれをどうすることもできない。
できるのは結局、ハサミと同じく「使いよう」ということなのだ。

このことは、すべてにおいて言える。
人間関係しかり、金銭しかり、時間しかり、運気しかり。

ただし、大事なのは「使いよう」そのものではなく、
「そういう視点を持て」
ということなのだ。

-歳時記

Copyright© 日日是耕日 , 2026 All Rights Reserved.