歳時記

我が家の「朝の挨拶」

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朝、愚妻と居間で顔を合わせると、
「お早うございます」
お互いが腰を折って丁重に挨拶をかわす。

これが数年来つづく我が家のルーチンである。

試合前の挨拶のようなもので、日中の「口撃バトル」と「イヤ味バトル」を前にしてお互いが挨拶をかわすというわけだ。

だが昨朝、ふと思い立ち、
「おめでとうございます」
という言葉に変えた。

「何がめでたいのよ」
「今朝も生きていてよかった、おめでとうという意味だ」
「ちょっと、私を殺す気なの!」

柳眉を逆立てたが、これは愚妻の認識が甘い。

葬儀に出仕すると、
「朝起きてこないので寝室に見に行ったら亡くなっていた」
そんなご遺族の話を耳にする。

必ず朝起きてくるとは限らないのだ。
年齢からして、その可能性はじゅうぶんある。

そう思えば、朝顔を合わせたなら、
「おめでとう、今朝も生きていたな」
ということになるではないか。

生きていればメデタイのか、と問われれば返答に困るが、世間的価値観からすれば「おめでとう」ということになる。

それに毎朝、「おめでとう」と挨拶していれば、人生、なんとなくメデタイ気分にもなるだろう。

そんなわけで、我が家の朝の挨拶は昨日から「おめでとうございます」なのだ。

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