愚妻の体調がもどりつつある（たぶん）。
実際のところはよくわからないが、
「具合が悪いのに、何でもかんでも私にやらせて」
私に文句を言い始めたので、体調がもどりつつあるのだろう。
必要があって投薬しているのだから、中止は治療のとってよいことではないと思うが、いまはやりのＱＯＬ（生活の質）と年齢を考え合わせると、投薬中止の是非は一概には言えないだろう。
それにしても、ドクターストップによる投薬中止は、踏ん切りがついてよかった。
何事もそうだが、判断を下すというのは難儀なものだ。
そういえば、かつて安藤昇さんが、
「俺のことを見ていて、やる、やらないの判断しかしないから楽そうに見えるだろうが、最終判断をするというのは難しいもんだ」
そんなことを語ってくれたことがある。
人が下した判断にケチをつけるのはたいてい結果が出てからで、いわば「後出しジャンケン」。
「ほら、みろ」
「だから言っただろう」
何とでも言えるのだ。
投薬中止が凶いずれと出るかわからないが、ドクターストップということで、判断を迫られなかった愚妻は気が楽のようである。
私は判断が難しいときは、熟考は放棄して、その場の感覚で決める。
なぜなら判断が難しいケースは、いくら考えても確信をもった結論は出ないからである。
すなわち『葉隠』に曰く、
「大事の思案は軽く、小事の思案は重く」
この精神である。
人生が楽ではないのは、日々、選択の連続であることと無関係ではないのではないか。
愚妻の投薬中止に、ふと思ったことである。