歳時記

淡々と、ただ淡々と

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サッカーW杯で、ドイツを破る大金星。
選手は日の丸を背負って本当に頑張ってくれた。
日本も誇らしい国になったものだと思う。

と言っても、私は試合中継を見ていない。
あえて見なかった。

テレビが開幕前から煽りすぎるからだ。
大枚の中継料と視聴率のためということが透けて見えるので、ヘソ曲がりの私は、煽られれば煽られるほどソッポを向くのだ。

旧統一教会を叩き、岸田総理を揶揄し、その一方で、W杯を煽る。
「アレはアレ、コレはコレ」
ということなのだろう。

ニュースを見ていると、都内の盛り場で若者たちが大ハシャギし、警察が出動する騒ぎになった報じていた。

(ン? またまたハロフィンか?)

そう思ったら違っていた。

若者たちがドイツ戦勝利にハシャいでいるのだ。

どうやらハシャぐネタは、ハロフィンでもW杯でも何でもいということか。
来月はクリスマスだから、今度はクリスマスをネタにハシャぐのだろう。

かつて、劇作家の梶原一騎先生が、私にこう言ってさとしてくれたことがある。

「向谷君、世間ほど残酷なものはないんだぞ」

つまり、世間は胴上げをしておいてソッポを向くということ。

あれだけヨイショした東京五輪も、すでに今や昔。
「金メダルを取ったの、誰だっけ?」
世間なんて、そんなものである。

これを「いい人」という評判に置きかえれば、私たちになる。

一休さんが、こう喝破している。

「今日褒めて明日悪く言う人の口 泣くも笑うも嘘の世の中」

「いい人」と言われたところで、世間はコロリと手のひらを返す。
「まさか、あんな人とは思わなかった」

これが世間の実相である。

胴上げに宙を舞っていい気分になっていると、地面に叩きつけられて大ケガをするということ。

淡々と、淡々と。

いつぞやこのブログで紹介したが、

「岩もあり木の根もあれど さらさらと たださらさらと 水の流るる」(甲斐和里子)

まさに、淡々と淡々と、である。

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