歳時記

価値観の相違

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春である。
花見である。

「どうだ、京都は。すいてるぞ」
「他府県を跨(また)いじゃいけないのよ」
「跨ぐのではない、跳び越えるのだ」
「バカなこと言ってないのよ」

愚妻は順法精神に富んでいる。
私が運転するときも、雪駄や草履は絶対NGで、靴を履けとうるさく言う。
だから運転用の靴を2足買った。

スピードもうるさい。
「ちょっと、どうしてそんなに飛ばすのよ」
「早いときもあれば遅いときもある。クルマも人生と同じだ」
「ごまかさなのよ!」

法律に限らず、何事も一度、決めたら絶対に変えない。
応用がきくにい性格で、応用だらけの私とは真逆なのだ。

「ケーキ? ゼリー? 両方?」
食事のあとで愚妻が問いかける。

「わからん」
「どうしてわからないのよ」
「わからんものは、わからんと言うしかないであろう」
「毎日のことじゃないの!」

5分ほどして、
「ケーキにゼリーだ」
「ちょっと!」
愚妻は怒るのだ。

人生の要諦は「応用」にあると私は考えるが、愚妻は「基本」に忠実。
価値観の相違はいかんともしがたいものと、いまになってつくづく考えるのだ。

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