歳時記

畑の「罪つくり」

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 畑に〝鬼ナントカ〟という花を愚妻が植えている。
 名前を聞いたが、忘れた。
 バカデカイ花で、これまたバカデカイ蕾(つぼみ)をつけているのだが、自重で茎が斜めに傾き、倒れる寸前である。
「アホな花だ」
 と私が毒づいたら、
「そうじゃない」
 と、畑大指南役のSさんにたしなめられた。
「こんなになるまで放っておいたのが悪い。茎が弱いと思ったら、小さいときに添え木をしとけばいいの。傾いてから何とかしようとするのは大変だからね」
 そう言ってから、
「人間も、しつけるなら小さいうちだよ」
 この言葉が耳に残っていたのだろう。
 畑帰りのクルマのなかで、
「ちょっと、甘やかし過ぎだわね」
 と、愚妻が、孫たちとその母親である娘のことをプリプリと怒り始めた。
 S大指南役のつぶやきのせいで、娘はきっとトバッチリを受けることだろう。
 畑も罪つくりなものではないか。

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