「だけじゃないか」
という人生観が、私の最近のお気に入りである。
「お金がないだけじゃないか」
「病気しただけじゃないか」
「失業しただけじゃないか」
「だけじゃないか」の人生観で生きることを、私は「あきらめ上手」と名づける。
そこで今日の昼、うなぎを食べに行った帰りのクルマで、
「おい、おまえは素晴らしい亭主を持って幸せ者だな」
と愚妻に告げてみた。
「どこが幸せなのよ」
愚妻がムキになるので、
「だって、わしはマガママなだけじゃないか」
亭主はワガママとあきらめれば不満はたちどころに解消され、バラ色の人生が待っているということを言外に告げたわけだ。
ところが、愚妻にはこの含蓄に富んだ言葉の意味が理解できない。
「ちょっと、そのマガママが大変なんじゃないの!」
と眉をつり上げるのである。
こんなことでは生涯、愚妻はバラ色の人生とは無縁であろう。
「あきらめ上手」になりさえすれば、その瞬間からハッピーになるというのに、何とも気の毒なものではないか。
「あきらめ上手」で生きる
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