歳時記

「武士の家計簿」と「電卓」

投稿日:

 今日から2月だ。
 陰暦で「如月(きさらぎ)」と言う。
 如月の語源は諸説ある。
 寒さのため衣(ころも)を重ねて着ることから「着更着(きさらぎ)」。
 気候が次第に陽気になっていくことから「気更来」(きさらぎ)。
 さらに、草木が生え始める月であることから「生更木(きさらぎ)」
 どれも風情があっていいですな。
 風情ある季節に逆らうようだが、私は小さな電卓とノート、筆ペンを持ち歩いている。
「エー、昼飯代が・・・」
 と、たとえばファミレスで、さらさらと書きつけるのだ。
 家計簿である。
 先日、ご紹介したが、映画『武士の家計簿』を見て、えらく感激し、
(よし!)
 と思い立ったのである。
 この映画のストーリーを書くと長くなるので、
《刀でなく、そろばんで家族を守った武士がいた》
 というキャッチから推測していただきたい。
 ちなみにキャストは、堺雅人、仲間由紀恵、中村雅俊、松坂慶子、西村雅彦、草笛光子といった面々で、笑いあり、涙あり。なかなか面白かった。
 で、私も主人公のお侍さんにならって、家計簿をつけてみようと思い立ったわけである。
「おい、ソロバンはないか」
 愚妻に命じると、
「あなた、ソロバンができるの?」
「電卓でいい」
 そんなわけで、スーパー銭湯へ行っても、
「エー、ソフトクリームが2つで440円」
 筆ペン片手にさらさらと書きつけるのである。
 面白い。
 実に面白い。
「これ、家計簿がこんなに面白いものとは思わなかったぞ」
 武家言葉で愚妻に告げると、
「あなたは、遊びでつけるだけだから面白いのよ。主婦は家計簿を見て溜め息をついているんだから」
 いや、ごもっとも。
 私の2月は、こうして始まったのである。

-歳時記

Copyright© 日日是耕日 , 2024 All Rights Reserved.