私は「頼まれ事」は基本的に断らないことにしている。
愚妻に言わせれば、
「あなたは、いい顔をし過ぎる」
ということになるが、これは自分にとばっちりが来るのを恐れての牽制で、バチ当たりの発想である。
私がなぜ「頼まれ事」を引き受けるかというと、それが「自分の意志に関わらないこと」であるからだ。
つまり、どんなことにせよ、「自分の意志」が介在するものは、人生において「昨日」の続きに過ぎない。
「昨日」と違う「今日」、「今日」と違う「明日」にしようと思えば、自分の意志と関わりのないこと、すなわち「頼まれ事」を引き受けることである。
私は、過去・現在・未来が一直線上に並ぶような人生はイヤなのだ。
だから突然変異の人生を求めて「頼まれ事」を引き受けるというわけである。
このことを愚妻にどう説いてみても理解不能のようで、
「突然変異だか何だか知らないけど、あたしに迷惑かけないでちょうだい」
愚かなことを冷たく口走るのである。
「馬の耳に念仏」という諺(ことわざが)ある。
アホな馬は救いがたいという意味だが、本意は「馬に念仏を説こうとする坊主がアホ」ということではないのか。
なるほど、そうか。
愚妻に〝突然変異の人生論〟など話しても理解できるわけがないと、私は一人静かに納得するのである。
「突然変異」という人生観
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