歳時記

カーナビは信用してはならない

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 昨日の昼間、麻布で人と会う約束があり、カーナビをセットして首都高速に乗った。
 芝公園出口で降りると、カーナビが、
「右折です」
 と告げる。
 これまで、芝公園ICはよく利用しているが、いつも左折である。
(へぇ、右折できるんだ。知らなかったな)
 とノンキに右折したら、いきなり背後からパトカーのサイレンと赤色灯が点滅。
 私の後ろを走ってきた。
(おッ、緊急車両だ。左に寄ってやらねば)
 と思いつつ停車したところが、パトカーもすぐに止まり、バックミラー腰越しにお巡りさんが飛び降りてくるのが見えた。
(何だ、何だ)
 私はキョロキョロ。
 このすぐ近くで事件でもあったのかと思ったのである。
 ところが、私のクルマまでやってきて、運転席の窓をコンコンとノック。
 窓をおろすと、
「そこ、右折禁止です」
「えッ」
「違反です」
「そんな、カーナビが曲がれと言ったんですよ」
「カーナビはあくまで補助ですから」
「カーナビの言うことは信じるなということですか?」
「さあ、私に言われましても」
 そんなこんなのやりとりがあって、7000円の罰金となった次第。
 せっかくゴールドガードになっているのにガッカリ。
 おバカなカーナビを信じた私が悪いのである。
 それにしても、気が重いのは、罰金のフリコミである。
 愚妻に頼まなければならないからだ。
 お金はもちろん私が出すのだが、恥ずかしながら私は、これまでフリコミということをやたことがないのである。
 だから拙宅では、フリコミはすべ愚妻の担当というわけだ。
 これまでも、お金を添えてフリコミを依頼するたびに、
「なによ、こんなくだらないもの買って」
「バカみたい。どうしてこんな寄付をするのよ」
 なんだかんだイヤ味を言われてきているのだ。
 ならば、自分で振り込めばいいようなものだが、カッコつけの私は、銀行の窓口へ行って、
「どうやればいいんですか」
 と訊くのがイヤなのである。
 だから、いまもってフリコミ作業は愚妻の専権事項というわけである。
 罰金のことを何と切り出したものか。
「カーナビの言うとおり右折したら、右折禁止。バカなカーナビだ」
「バカなのはあなたでしょ」
 そう毒づくに決まっている。
 諸氏、カーナビは信用してはならないのだ。
 

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