歳時記

ガッツ石松さんを偲ぶ

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ガッツ石松さんが亡くなった。
私が週刊誌記者をしていた20代の夏、ガッツさんと与論島へ出かけた。
ガッツさんが、与論島に遊びに来ている都会の娘さんたちをナンパし、その顛末を私がルポ記事にするという企画だ。

羽田空港で飛行機を待つ間、ガッツさんがナンパの極意を私に指南する。

「いいか、ナンパってのはな、最初の声かけが勝負なんだ」
「何て声をかけるんですか?」
「どっから来たの? これでキマりだ」

なんだか月並みな声かけのような気がするが、機嫌を損ねると楽しいルポにならないので、
「なるほど!」

ヨイショしたのをおぼえている。

ナンパの成果についてはマル秘にしておくが、ちょうど台風がやってきて、与論島から動けなくなった。

だが、ガッツさんは映画の撮影があり、明日までにどうしても大阪に行かなければならないと言う。

沖縄本島に行ければ飛行機が飛ぶというので、午前、私はセスナ機をチャーターして与論島から那覇空港に向かった。

好奇心旺盛なガッツさんがパイロットに、
「操縦桿、触っていいかい?」
「いいですよ・・・・、あッ! 動かしちゃダメ!」

パイロットがあわてたことを思いだした。

その後、没交渉だったが、十数年前、たまたま縁あってガッツさんの著書を手伝うことになって再会。
与論島のことは印象が強かったとみえ、話が弾んだものだ。

「人間、明るくなくちゃダメだな。だって、そうだろう。明るくなくちゃ、蛾だって寄ってこないんだから」

食事ながら、そんな人生論をおっしゃっていた。

苦労人だけあって、ガッツさんの言葉にはうなづくことばかりで、こんな人生論を展開したものだ。

「歩けば転ぶ。これ、人間。だから転ぶのはいい。人生で大事なことは、転ばないことじゃなく、転んだときにどうするか、ということ。間抜けなヤツは、痛テテテテ、と腰をさすっておしまい。伸びるヤツは違う。なぜ転んだのか、と反省する。そして、同じドジを二度とくり返さないようにすることで、転ぶ回数をどんどん少なくしていくというわけだな」

好漢、愛すべし。

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