歳時記

合宿先にて

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 今年の子供合宿は40名と例年より少なく、中高生が手伝ってくれるので大助かりだが、それでもやはり〝戦場〟である。
 ことに夜。
 騒がないように注意するが、そこは子供たち。
 まあ賑やかなものである。
 消灯後、1年生が2人、いっしょに私のフトンにやってきて、
「家に帰りたい」
 と小さな声で言う。
「どうして?」
 などと、やさしい声をかけてはいけない。
 やさしくすると、たいていシクシクと泣き出すからだ。
 同情を引くのは子供の〝武器〟なのである。
 だからここは毅然と、
「我慢しなさい!」
 と、つき放す。
 とりつく島をなくし、観念させるのがよろしい。
 しばらくして、また同じ2人がやってきた。
「館長」
「なんだ」
「アゴが痛い」
「ボクは口のところが痛い」
 彼らなりに知恵をしぼったのだろう。
「だから家に帰りたい」
 と訴えるのである。
 私は思わず吹き出しそうになったが、やはり毅然と、
「寝れば治る!」
 2人はすごすごフトンに潜り込み、ものの数分もすると寝息を立てていた。
 観念したのである。
 翌朝の2人は晴れ晴れとした顔をしていた。
 彼らなりに、一晩を克服したのだ。
 このブログを合宿先で書いている。
 いま自由時間。
 まもなく朝食。
 そのあと9時から稽古である。
 

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