歳時記

飛行機が引き返す

投稿日:

 ひどい話だ。
 昨日、「これから沖縄」と羽田空港でこのブログに書き、実際、午後1時05分に予定どおり飛行機は離陸。
 すぐさま眠りについて、2時ころ目が醒めると、
「当機は羽田に引き返します」
 というアナウンスが耳に飛び込んできた。
 理由はよくわからないが、機体に不具合があったようだ。
(ここまで飛んで引き返すなら、那覇空港へ行けばいいのに)
 と私は思ったが、そうはいかないのだろう。
 客室乗務員は
「重ねてお詫び申し上げます」
 とマイクを通じて詫びるが、これが何とも白々しく感じるのだ。
 無機質というのか、白々しいというのか、丁重に詫びてはいるのだが、ちっとも心に響いてこない
 それがどこから来るのか考えているうちに、ふと気がついた。
 警察の飲酒取り締まりの検問に通じるものがあるのだ。
 ご承知のように警察官は、
「お急ぎのところ、すみませんね」
 とか何とか言いながら、ちっとも「すみません」と思っていない、あの口調である。
 ひらたく言えば、
(我々は法律に基づいて取り締まっている。本来は〝すみません〟という必要はないのだが、無用のトラブルをさけるために便宜上、〝すみません〟といっていに過ぎない)
 ということだ。
 客室乗務員も、これと同じ気持ちではないのか。
(機体に問題があるのだから羽田に引き返すのは当然。重ねてお詫びする必要もないのだけれど、客に文句言われるとめんどうなので便宜上、お詫びしているだけ)
 そんなニュアンスを感じるのである。
 もっと言えば、
(あんた、飛行機が落ちたらどうするのよ。お詫びがどうだとか言ってる場合じゃないでしょ)
 というのが本音ではないか。
 腹立たしさゆえの勘ぐりで、そんなことを思ってしまうのである。
 結局、4時間近く遅れて離陸。
 おかげで夜の稽古に間に合わなかった。
 このことを電話で愚妻に告げると、笑い声がいつまでも続く。
 どこが面白いのか私にはわからないが、人間はあれほどまでに天真爛漫に笑えるものなのか。
 これはこれで考えさせられたのである。

-歳時記

Copyright© 日日是耕日 , 2024 All Rights Reserved.