歳時記

「ムカデの寓話」

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「膝を曲げて歩く」のウォーキングは、やめることにした。

ついつい膝が伸びてしまい、
(あっ、曲げなくては!)
その都度、自分に言い聞かせる。

これが面倒なのだ。

田んぼの周辺には野草が花をつけ、これを見ながら歩くのが春先の楽しみだったのだが、そんな余裕はなく、
(あっ、曲げなくては!)

これでは、いったい何のためにウォーキングしているのかわからなくなる。
私のウォーキングの目的は健康維持ではなく、四季をのんびり愛でることなのだ。

で、先日。

そんなことを考えながらウォーキングしていて、「ムカデの寓話(ぐうわ)」を思い出した。

ドイツの詩人であるキップリングの詩に由来する寓話で、
「ムカデがどの足から歩くか悩んで動けなくなった」
という話だ。

ある日、ムカデがヒキガエルに、こう訊ねられる。

「お宅、歩くときに、どの足から動かすんだい?」

ムカデはハッとする。
そんなこと、考えたこともない。
ムカデは自分の歩き方を意識した途端、どの足から動かせばいいかわかからなくなり、動けなくなってしまうのだった。

このことから、無意識に行っていることに対して意識を向けすぎると、かえってスムーズにいかなくなるたとえとして用いられ、これを「意識しすぎの罠」と言う。

「膝を曲げて歩く」もそれと同じで、私はムカデになっていたことに気がついたのである。

意識せず、歩けばいいのだ。
腰痛だろうが、膝痛だろうが、構うことはない。
草花を目で、新鮮な空気を胸いっぱいに吸い、楽しみながら気分爽快に歩けばいいのだ。
人生はいたってシンプルなのである。

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