歳時記

盛夏目前なれども

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いよいよ夏休みである。
私ではない。
小、中学生の話だ。

高校はどうなっているのか知らないが、小学生たちが嬉しそうな顔をして道場でそう言った。
「えッ、夏休み」
私としては不意をつかれる思いである。

もう、そんな季節なのか。
慌ただしい日々に追われ、気がつけば間もなく真夏である。

今年の夏はどうしようか。
所用が多く、とても旅行どころではない。
だが、何にもしないのは癪である。

「よし、海だ。泳ぐぞ。日にちを決めよ」

愚妻に命じると、
「鴨川のときもそう言ったし、白子のときもそう言ったけど、一度も泳がなかったじゃないの」
つまらなさそうに言った。

鴨川も白子も、仕事部屋として海辺のマンションを借りていたが、確かに一度も泳いでいない。
「ボディーボードをやるとかやらないとか、大騒ぎした年もあったんじゃないの」
くだらないことを覚えているのだ。

結局、こうして掛け声だけで大半の「希望」は消えていくのだろう。

机の前に張った年間カレンダーを見ながら、すでに秋以降の予定に思いを馳せている。

盛夏目前なれど、1年365日、変わらぬ日々なのである。

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