テレビは基本的にNHKしか観ない。
それもドキュメンタリーだ。
民放が「お笑い芸人」や「タレント」を多用することにケチをつけるつもりはないが、バカ笑いが多すぎる。
彼らも仕事とはいえ、よくも無邪気を装ってにバカ笑いができるものだ。
私は、これが気に入らない。
階下の居間に降り、愚妻が民放を観ていると、
「バカ笑いの番組など不愉快だ」
そう言って、すぐにチャンネルを変える。
「うるさいはねぇ。いいじゃないの、泣こうが笑おうが」
鈍感な愚妻はそういうことは頓着しないのだ。
民放のCMの多さも気に入らない。
かつてCMは番組の途中に流したものだが、いまは逆。
CMの合間に番組を放送している。
しかも、同じ芸能人が、あっちこっちのCMに出ている。
平気な顔して商品をホメちぎっている。
「カネのために、おのれの魂を売るのか!」
私が怒ると、
「うるさいはねぇ。いいじゃないの、いくら稼ごうと」
そして、
「年寄りになると、ひがみ根性が出てきてくるって言うけど、ホントねぇ」
イヤなこと平然と言うのだ。
だが、たしかに腹が立つことが多くなったように思う。
これは「随縁悠々」を標榜する私の生き方に反する。
『気に入らぬ 風もあろうに 柳かな』
意に染まぬことであって、さらりと風を受け流す柳のごとくあるべきだという意味で、仙崖和尚のこの言葉に思わず膝を叩いたばかりではないか。
世のなかのことに「好悪」を口にすべきではない。
すべてを受け入れ、すべてを留めず、そしてすべてを過去の彼方に捨て去っていく。
こうあるべきだと反省しつつも、民放のバカ笑いと、CMの多さと、タレントの節操なきCM出演を目にすると、やっぱり腹が立つ。
なるほど、自分はさとりとは縁なき凡夫だと、妙な自信をもつのだ。