拙著『寝業師の仕事術』(清談社Publico)が「PRESIDENT Online」で紹介された。
https://president.jp/articles/-/116609
「寝業師」とは、「裏面での工作がたくみな人」という意味で、昭和世代には日常語として人物評に用いられる。
ところが平成世代になると、
「なんですか、それ?」
ということになるようだ。
拙著が出てから、
「寝業師なんて言葉があるんですね。初めて知りました」
そんな声を少なからず耳にして、著者としてはいささか面食らったものである。
「寝業師」は状況を的確に分析し、相手方の心理を見抜き、表から、裏から、あるいは斜めから最良の手段をもって攻め落とす。
凡庸な人間に「寝業師」は務まらないことから、誉め言葉と悪い意味の両方に用いられる。
自分の欲得のために策略を練るのが悪い意味の「寝業師」で、大義や義憤、組織、人助けのために用いるのが良い意味での「寝業師」ということになろうか。
「人間社会」という言葉があるが、「社会」と呼ばれる実体があるのではない。
人間関係による利害得失を総称して「社会」と呼び、「人間関係」とはとどのりつまり、「感情」のことを言う。
すなわち「寝業師」は「感情」を手玉に取って攻めるプロのことなのである。
AIの時代になった。
だが、「人間関係」をもって「社会」とするなら、社会の主体は人間であり、AIはあくまでツールに過ぎない。
どれだけ科学が進歩しようとも、喰って、寝て、嫉妬、傲慢、損得に心を砕くという人間の営みと感情は太古の昔から何一つ変わっていない。
むしろ、AI時代からこそ「寝業」が活きるものと、これは私の確信である。
一読願えれば幸いである。