歳時記

気仙沼温泉

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気仙沼温泉に行ってきた。
漁港が眼下に一望である。
一望するだけで、風呂に入る以外、何もしない。
何もしないのが我が家流で、3泊したが、終日、ボケっとしている。

漁船の出入港を見るのが楽しく、日がな眺めているが、これもいつもどおりケチをつける。

大型漁船が入港するときにタグボードが三隻ほど引っ張っているが、

「引っ張ってもらわなきゃ、港に入れないのかしらねぇ」

愚妻が窓辺の椅子に座ってそれを眺めながら文句を言う。

「自力で入港できるなら引っ張ってもらわんだろう」
「ああ言えばこう言うんだから」

持参したワインをグビリとやりながら、愚妻が気仙沼まで来て私に文句を言う。

気流に乗ったカモメが、大型船の頭上を気持ちよさそうに滑空している。

「おい、あのカモメを見ろ。翼を動かしもせず、気流まかせでスイスイ飛んでおるではないか。いいかげんな鳥だ」

今度は私が文句を言う。

「あなたと同じよ」
「わしはカモメか」
「もっとタチが悪いわよ」

温泉地に行ってまで、イヤミなことを言うのである。

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