歳時記

どこで稽古をするか

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空手・古武道の指導から身を引いて、時間的にずいぶん楽になった。

先月は趣味と健康を兼ね、週一程度、近所の公園で身体を動かしていたが、これからは古武道も合わせ、自分なりに本格的に稽古をしよう。

そう思い、サイとかヌンチャク、鉄甲などをリュックに詰めていると、
「何してんの?」

愚妻が目ざとく見つけ、眉をひそめる。

「公園で稽古をするのだ」
「ちょっと、そんなもの振りまわしていたら、すぐに警察に通報されるわよ。いま強盗が問題になっているから大変なことになるわよ」

確かに、それは言える。
だが、そんなことで自制するのもどうか。

「稽古衣を着てやればいい」
「ダメよ、ダメダメ。頭がツルッパゲで、それでなくても見るからにフツーじゃないんだから」

それで、公園での稽古は断念した。

で、今日の午後。

法事のお勤めから帰り、ひょいと庭に目をやってひらめいた。
(そうだ、庭で稽古すればいいのだ!)

猫の額ほどしかないが、愚妻の家庭菜園用のプランターや、私がレンガを積み上げてつくってやった花壇を片づければ、一人が動ける程度のスペースは確保できるではないか。

愚妻に進言すると、

「ダメ、ダメダタメ」
「何でだ」
「花も芽が出かかっているし、そのうちキュウリとかミニトマトとかつくるんだから」
「わしの健康と花とどっちが大事だ? 身体を動かさないでいると、もう数年で足腰が立たなくなるぞ。おまえが介護するのか?」

切り札を切ると、
「そうねぇ、庭を片づけるのもいいんじゃない」

コロリと変節。
打算に生きる人間は、自分に被害が及ぶとなると節操がなくなるのだ。

まあ、それはいい。
いま忙しいので一段落した庭を片づけよう。

問題は、愚妻にどうやってウォーキングをさせるか。
私はノンキに生きているように見られるが、相応にいろいろと頭を悩ますのだ。

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