歳時記

お気楽に生きたい

投稿日:

人生は「突然変異」でしか変わらない。
だから病気などアクシデントは厭(いと)うべきでなく、人生が変わっていくチャンスだととらえるべきだ。
先程、稽古のあとで一般会員に、そんな話した。

だからだろう。
帰宅して風呂に浸かっていると、
(私の肩甲骨の痛みは、ひょっとして生き方を変えるチャンスなのではないか?)
そんな思いががよぎった。

そうだ。
そうに違いない。
無理をするなという「仏の啓示」なのだ。

すぐさま風呂からあがり、愚妻に言った。

「おい、わしはこれから気楽に生きることにしたぞ」
「ちょっと、それ以上お気楽に生きてどうするのよ!」
「えっ?」
「えも、へもない!」

いや、怒るまいことか。

「バカなこと言ってないで、ちゃんと拭きなさいよ。身体が濡れてるでしょう。梅雨入りしたんだから湿気させないでよ」

あれやこれやと怒り始めた。

私には、自分が気楽に生きているという自覚はないのだが、愚妻にはそう見えるのだろう。

『おもてには快楽けらくをよそい、心には悩みわずらう。――ダンテ・アリギエリ』

太宰治『渡り鳥』の書き出しが脳裡をよぎるのだ。

-歳時記

Copyright© 日日是耕日 , 2024 All Rights Reserved.