歳時記

前歯が欠けた

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前歯が欠けた。
といっても、ほんのちょっとで、目を凝らさなければわからない程度だ。

したがって欠けたという自覚はなく、舌先がその部位に触れたときに、
(あれ?)
何となく違和感があり、鏡を見たら欠けていたという次第。

愚妻に見せる。
「そうねぇ」
素っ気ないので、
「バカ者。どんどん欠けていって〝歯抜けの坊さん〟になったらどうする。葬儀のときにフニャフニャ言ったのでは喜劇になってマズいだろ」
「わかったわよ、歯医者に行けばいいでしょ」

そう言ってから、いつもの捨てセリフを口にする。
「もう、あっちが痛い、こっちが痛いって言うんだから」

で、昨日、歯科に行った。
欠けた部分を補修。
治療と言うより、まさに補修してから、
「あと二ヵ所、こことここが欠けていますねぇ」
医者が手鏡を私に渡して言った。

どうも、あちこち身体の故障が続く。
この流れからすれば、オミクロンもヤバイかもしれない。
朝のワイドショーで、とにかくワクチン接種が大事だと医者が言っていた。

「おい、接種日を取り直せ!」
愚妻に命じる。

先日、このブログで書いたように、私の接種予約はなぜか3月。
愚妻は来週である。
マズイではないか。

「自分で電話して取り直しなさいよ」
愚妻が逆らう。
だが、私はこういう作業が大嫌いなのだ。

だから言った。
「よし、わかった。じゃ、わしがオミクロンに感染しておまえにうつし、おまえが発症して重症化し、大変なことになるが、仕方あるまい」
「いつがいいのよ」

こうして愚妻はテキパキと来週の予約をあらためて取った次第。
人間は、自分に危害が及ぶかもしれないと思えば、すぐに行動に移すのだ。

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