歳時記

ドアのノック

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昼間、二階にある自室のドアを開けると、水のペットボトルが2本置いてある。
愚妻が置いたのだ。
まるで私がコロナ感染者で、隔離されているようではないか。

「なぜ、部屋に持ってこない」
叱責すると、
「うるさいからよ」
コーヒー片手にテレビを観ながら、こともなげに言う。

「何がうるさいのだ」
「うるさいじゃないの。ノックの回数がどうだとか、強弱がどうとか、文句ばかり言って」

うるさいかどうかはともかく、過日、ノックについては確かに厳しく指導した。
2回はトイレのドアで、そうでない場合は3回、丁寧にやるなら4回である。

ところが、コンコンコンとノックが早すぎたり、コン、コンコンと間隔がよくなかったりで、何度かやり直しをさせたところが、
「もうノックなんかしないから」
愚妻が怒ったのである。

それで本日、ドアの外にペットボトルが置いてあるというわけだ。

まったく向上心に欠ける女で、せっかくの指導も逆恨みという次第だが、立ち直りもすこぶる早い。

私がテレビニュースを観ながら、
「大阪の感染者数が今日は878人、東京が555人。数字の並びができすぎだな」

つぶやくと、
「どういうこと?」
すぐに食いついてくる。

「不吉の兆候だ」
「広がるかしら?」
「偶然で東西の2大都市が、キリのいい数字になるわけがない」

話が弾み、愚妻の機嫌もたちまちにして直るのだ。

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