歳時記

「裏切り」の本質を考える

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 日刊ゲンダイから電話取材があった。
 以前、取材を受けたK記者からで、「上司に裏切られる」がテーマだった。
 K記者はとても質問上手なので、こういう取材は楽しく、話しも弾むのだ。
 で、先ほどのこと。
 稽古が終わって帰宅し、風呂に入ると、いつものようにいろんな思いが頭を駆けめぐり、
「裏切りとは何か」
 ということについて改めて考えてみた。
 たとえば上司が、
「キミを課長に引き上げる」
 と言って課長にしてくれなかったら、これは「裏切り」というよりも、「騙(だま)し」である。
 そうではなく、
(この上司に一所懸命つくせば課長にしてくれるだろう)
 と期待し、滅私奉公で仕えた結果、課長に引き上げてくれなかったら、これは「騙された」ではなく、
「期待を裏切られた」
 ということになる。
 つまり「裏切られた」の本質は、「自分の期待に裏切られた」ということではないのか。
 そんなことを、つらつら考えていると、「期待」のないところに「裏切り」は存在しないという結論に行き着いた。
 道理で、私は愚妻に裏切られたことがないはずである。
 湯船につかりながら、ひとり合点した次第。
  
   

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