歳時記

千年も万年も

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 自宅の机の前の壁に、年間カレンダーを張り付けてある。
 1日が過ぎると印をつけていく。
 いま、ひょいと見ると、今年も早や4カ月がすぎようとしている。
 1年の3分の1ではないか。
 早い。
 いや、速いと書くべきか。
 生きていればの話だが、このペースでいけば3年、5年、10年は瞬(またた)く間である。
 生老病死を「四苦」と言う。
 私は「苦」には鈍感なのか、今年68歳を迎えるが、死を恐いとは思わない。
 取りあえず健康であることと、死を現実のものとして認識していないからだろうが、それでも死んだときの連絡先とか、愚妻に伝えておくべきことの準備を始めている。
 一方、愚妻はどうか。
 自分は死なないと思っている。
 昨夜も外食に行った店で、葬儀をどうするか訊いてみた。
「お前が先に死んだ場合、どうして欲しいのか、ちゃんとわしに言っておけ」
「大丈夫、死なないから」
「いつかは死ぬ」
「大丈夫、あなたより遅いから」
「そんなことはわからんではないか」
「大丈夫、わかっているから」
 焼酎をロックで飲みながら自信満々なのだ。
 ひょっとしたら、愚妻は千年も万年も生きるのではないか。
 鶴も亀もビックリするに違いない。

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