歳時記

「お金」を口にする子供たち

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 最近、「お金」のことを口にする子供が増えてきたように思う。
「館長、道場ってもうかるの?」
 と問いかけてきた低学年の女子がいる。
「勝てないのに、試合に出るのはお金がもったいないじゃん」
 と言った高学年の男子もいる。
「月謝、もったいないわ」
 と言った女子もいる。
 月謝といっても月額三千円。
 稽古回数に制限はなく、週に三回通ってくる子も少なくない。
 無邪気といえばそうだろうが、私としてはガッカリである。
 たぶん、ちょっとしたときに母親がそんなことを口にするのだろう。
 私は、子供がお金のことを「もうかる、もうからない」「損か、得か」という視点で口にするのは、感心しない。
 お金という価値観よりも、人間にはもっと大事なものがあると思うからだ。
 だからか、これは私の実感なのだが、熱心に稽古する子は、お金のことや損得を口にすることはなく、ひたむきに稽古する。
 チンタラして稽古しない子は、
「道場って、もうかるの?」
 と、そんなことを聞いてくる。
 興味の視点や、価値観がまるっきり違っているのである。
 親の人生観がしつけに現れ、子供の人生観を形づくっていく。
 当然といえばそのとおりだが、この「当然のこと」に本気で気がついたとき、親はその責任の重さに慄然とすることだろう。
 そうはならないのは、「当然のこと」に気づいていないからである。

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