歳時記

〝不覚〟のオナラ

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 昨日、西本願寺に参拝してから大通りを渡ると、龍谷ミュージアムで『釈尊と親鸞』展をやっていた。
 これは釈尊と親鸞について、愚妻に教えるいい機会ではないか。
 そう思って入館し、親鸞聖人の座像の前で念仏と他力、浄土について話をしていたときである。
 プッ!
 解説に力が入りすぎたか、私は不覚にもオナラをしてしまった。
 微音で、刹那のオナラであったにもかかわらず、愚妻は鋭く聞きつけ、キッとした顔で私を睨みつけたのである。
 そして、ミュージアムを出るや、
「ちょっと、親鸞さんの前でオナラするなんて、どういう神経をしているのよ」
 眉をつり上げ、 
「エラそうなことを言っても、親鸞さんの前でオナラするようじゃ、誰も耳を貸さないわね」
 さんざん毒づいたのである。
 だが、罰当たりにして、不信心者の愚妻が、「親鸞聖人に失礼だ」と私を難詰するとは、少しは信心が芽生えてきたということか。
 そのことを知っただでけでも、私のオナラは意味があったということになる。
 オナラは私の〝はからい(意志)〟ではなく、親鸞聖人の〝はからい〟であったろうと、納得したのである。

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