歳時記

余計なものを削ぎ落とす

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 新著の『「決断」の前に読む言葉』に書いたが、
《人の行く裏に道あり 花の山》
 という言葉が、私は好きだ。
 この相場格言は、
「人と同じ張り方をしていては儲けることはできない」
 という意味で、みんなが「買い」のときには「売り」にまわり、「売り」のときには「買い」にまわれと、相場の心構えを教える。
 これを私は、
「流行やブームに流されず、愚直に一つの分野で我慢していれば、必ず花開くときがくる」
 と読み解くわけだが、もう一つの解釈がある。
 それは、流行やブーム、話題、社会のトレンドといったものに対して、わざと背を向けるという処し方だ。
 ヒット曲を聞かず、人気テレビ番組も観ず、話題の本も読まず、悠々と生きていく人生観である。
「それって、ただのヘソ曲がりじゃないの」
 と、愚妻はバチ当たりなことを言うが、そうではない。
 AKB48も、浅田真央も、バレーボールも、サッカーも、われ関せず。
 空手を研究し、龍笛を吹き、畑を耕し、読みたい本を友とする。
 やってみればわかるが、少しでも余計なことを削ぎ落とした日々は、いいものだ。
 
  

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