歳時記

風呂でスイカを食べる

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 私は、風呂で果物を食べるのが大好きである。
 酒を飲んでいたころは、風呂でビールをグビグビやっていたが、いまは果物である。
 ことにスイカが大好きで、愚妻に風呂に持ってこさせるのだが、ドーンと大スイカの、四分の一の大きさを大皿の載せてくるのだ。
 理由はわかっている。
 自分がスイカを好きでないため、小さく、食べやすく切るのが面倒なのだ。
 それでも、私が文句ひとつ言わないのは、ひとえにスイカ好きであるからで、スプーンで〝鉱山〟を掘るようにして黙々と食べている。
 問題は、食べた後始末をどうするかだ。
 私は風呂に置いたまま、出で行く。
「スイカの皿は?」
「風呂に置いてある」
「持ってきなさいよ」
「バカ者。〝出したら、さげるは世の習い〟というのだ」
 すると、愚妻は、
「フン」
 と冷笑して、
「あなたと、おんなじようなこと言って威張っていた人がいたわね」
「誰だ」
「松本ナントカという復興大臣よ。〝お客さんが来るときは、自分が入ってから呼べ〟とかなんとかエラそうなこと言って、バカみたい」
 まさか、あの傲慢なアホ大臣と一緒にされるとは。
 最近は、愚妻も胸に突き刺さるようなキツイことを言うのだ。
 さて、今夜のスイカはどうしたものだろうか。
 松本復興大臣と同じにされてはかなわない。
 自分で皿をさげるか。

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