歳時記

「加齢」と「鈍感」

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 余震がまだ続いていて、
「障子がガタガタ鳴って眠られん」
 と、映芳爺さんがボヤいている。
 計画停電の予定時間を教えると、
「今夜? わしは寝とるけん大丈夫」
 と、こともなげに言う。
 年を拾うと「自分のこと」しか見えなくなるというが、本当である。
 だが、これは〝ジコチュー〟とは違う。
 87歳ともなれば、そういう積極性はないのだ。
 視力が衰え、歯が衰え、脚力が衰えるように、気配りの範囲も次第に狭くなっていくに過ぎないのである。
 老犬のマック爺さんも同様だ。
 若いころは、ちょっとした地震の揺れでも恐怖に震えていたが、いまはノンキなものだ。
 すべてが鈍感になっているのだろう。
 年寄り、老犬が鈍感になるのは当然としても、若者はどうなのだろうか。
 いろんなことを考えさせられるのだ。

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