歳時記

大腸ガンの検査で考えた

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 昨日は、大腸ガンの検査を受けた。
 健康診断で引っかかったのだ。
 結果は「異常なし」だったが、検査の前日は食事制限があり、これが難物だった。
 朝は食パン二枚。ただし、バターやジャムなどをつけてはならない。
 昼はウドン。ただし、具はいっさい不可。
 夜はお粥(かゆ)。ただし、梅干しなど副食物はいっさい不可。
 小食を旨とする私にとって、これだけ食べられればじゅうぶんだとタカをくくっていたところが、無性に腹が減ってくるのだ。
 で、水をガブガブ飲む。
 そんな私を見て、愚妻がしみじみと言う。
「食べるな、と言われれば食べたくなるものなのね」
 これに私はハッとさせられた。
 なるほど、そうなのだ。
 人間は、強制に対して、それと等量だけ無意識に反発するのだ。
「稽古しろ」
 と強制すると、子供たちはイヤイヤながらする。
「原稿を書かねば」
 と、自分で自分に強制すると、気分がイマイチ乗ってこない。
 つまり、「強制」してはダメなのだ。
 で、昨夜の稽古。
 強制を排除して、
「稽古したい人だけしなさい」
 と言ってみたところが、大半が稽古をしないで、ペチャクチャおしゃべりに興じていた。
 結局、人間は、強制すれば反発し、強制しなければ易(やす)きに流れるということか。
 つまり、どっちに転んでも結果は同じであるということを、私は大腸ガンの検査をとおして学んだのである。

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