歳時記

まさか雨が降っていようとは

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 今日は稽古がないので、道場の仕事部屋に行かず、自宅二階の自室で終日、原稿を書いていた。
 夕方になって、にわかに風呂へ行きたくなったので、
「おい、行くぞ。支度(したく)だ」
 と階下の愚妻に携帯電話をかけ、階段を降りて驚いた。
 雨がザーザー降っているではないか。
 自室は、外の明かりがパソコンのモニターの反射するのでカーテンを閉めきっているし、お茶やコーヒーは階下の愚妻に携帯電話をかけて運ばせるので、部屋から出るのはトイレだけ。
 それで、不覚にも雨に気がつかなかったというわけである。
 愚妻も風呂好きなので、上機嫌で支度している。
「雨だからやめた」
 と言えば、頭からツノが飛び出てくるだろう。
 気が乗らないまま、ノートパソコンと資料を持って風呂へ行った次第。
 客は当然ながら少なかった。
 私が大好きな露天風呂は、雨で入れない。
(こんなことなら、家の風呂でメロンを食べながら雑誌でも読めばよかった)
 休憩室で仕事をしながら後悔しきりであった。
 不用意な言葉は自分を苦しめることになる。
 諸賢、ご用心を。

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