健康ランドのサウナ室で、サッカーW杯を何度かテレビ観戦した。
外国チームで、タトゥーをしている選手がよく目に着いた。
どこの健康ランドもそうだが、入れ墨、タトゥーは入場お断りになっている。
その健康ランドで、タトゥーをしている選手の活躍を観戦するのは、何とも妙な気分である。
(彼らが来日して、健康ランドに入りたいといったら、店はどうするのだろうか)
サッカー観戦そっちのけで、そんなくだらないことを考えていた。
我ながら面白い発想だと思い、風呂から出て愚妻にそのことを話すと、
「あなたが心配することじゃないでしょ」
面倒くさそうに言った。
確かに、私が心配することではない。
それはわかっている。
わかっていながら、あれこれ想像の翼を広げるところに人生の面白さがあるのではないか。
「聞け。想像の翼を広げられないような人生は、無味乾燥なものだ」
「屁理屈なら、よそへ行って話して。私は暑いんだから」
ムームー調の館内着の裾を、両手でパタパタさせながら言った。
W杯に無関心なバチ当たりが、ここにいるのだ。
サウナでW杯観戦
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