歳時記

子供たちを手玉に取る

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 道場で小学生の低学年たちから、よく年齢を聞かれる。
「58歳だよ」
「エッ?」
 一様に驚く。
 自分たちの両親よりはるかに年上であり、「50以上」という年齢が実感として理解できないのである。
 当然、私はおもしろくない。
「館長だって、昔はキミらと同じ小学生だったんだ」
「ウソだーい」
「ホントだって」
 ムキになりつつ、ふと考えを変え、「58歳」と答えるのをやめてみた。
「館長、何歳?」
「100歳」
「ウソだーい」
「ホントだって。館長の頭、ツルッ禿だろ?」
「そうだけど」
 困惑している。
 そこで言うのだ。
「本当は58歳」
「なんだ、そうなんだ」
 ニッコリと安堵の笑顔を子供たちが見せたところで、
「館長、若いだろう?」
「うん」
 子供たちを手玉に取るのも楽じゃないのである。

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