歳時記

大学駅伝のテレビ観戦

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 大学箱根駅伝で、東洋大が2連覇した。
 86歳の親父は駅伝が大好きで、昨日も今日も朝からチビリチビリやりながらテレビ観戦で、
「おっ、手の振りがおかしいぞ」
「おっ、顔をゆがめとる。もうすぐ坂じゃけん、やられるかもしれんど」
 何だかんだと勝手な講釈をたれている。
 面倒なので、私は相槌も打たないが、おしゃべりな愚妻はそこがわからない。
「でも、箱根に出場するって、たいしたもんよねえ」
 余計なことを言うから、86歳が即座にそれに喰いつき、
「そもそも予選会を勝ち抜くというのは」
 講釈は延々と続くのであった。
 それにしても、駅伝、野球、ボクシング等々、「観戦」とは何とも楽なものではないか。
「走れ!」
「根性だ!」
「何やっちょる!」
 自分はコタツで一杯やりながら、勝手なことを言っていればいいのだ。
 人生レースも「観戦者」でいられたなら、これほど楽しいものはあるまいに、と86歳の〝講釈師〟を横目で見ながら思うのである。
 

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