歳時記

好評番はヤバイのだ

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 プロゴルファーのタイガー・ウッズが、スキャンダルで〝火の車〟だ。
 不倫だの、愛人が6人だのとメディアはにぎやかなことだが、考えてみれば、ゴルファーに愛人がいて何が悪かろう。
 タイガー・ウッズがここまで叩かれるのは、彼がプロゴルファーであったからではなく、「紳士」のイメージで売ってきたからである。
 これが札付きの〝不良ゴルファー〟であったなら、
「またか」
 と、苦笑ですまされるだろう。
 これまで営々と「善行」を積んできても、たった一つの「悪行」で信用はガタ落ちになる。
 いや、善行を積めば積むほど、
「まさか、あの人がねぇ」
 と、反動は何倍にもなって襲ってくるのである。
 ところが〝大ワル〟は、たった一つの「善行」で、
「おっ、いいところあるじゃん」
 と、みんながホメてくれる。
 私の道場でも、稽古をサボってばかりの子どもが、たまたま一所懸命やっていると、
「おっ」
 と見直したりするし、反対に稽古熱心な子がたまたま手を抜いていると、
「こらッ、何やっとる!」
 叱責を飛ばす。
 不公平だと思うが、これが現実なのである。
 だから「マジメ」「いい人」「有能」なんて評判はヤバイのだ。
 それなのに、多くの人は評判を求めて「善行」を積むのだから、愚かなことではないか。
 私など、愚妻がこう言って罵るのだ。
「怠け者」「横着」「極楽トンボ」「いい加減な男」「飽きっぽい」「唯我独尊」
 罵詈雑言の嵐だが、実はこれ、私はちゃんと計算済みなのだ。
 すなわち、大ワルを演出しておけば、たった一つの「善行」で、愚妻はコロリと私を見直すことになるのだ(たぶん)。

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