歳時記

「理屈」と「屁理屈」

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 いつも思うことだが、「理屈」と「屁理屈」はいい勝負だ。
 イベントのプランナーが出してきた企画が地味だったので、
「そんなんじゃなくて、アッと驚く企画を考えてよ」
 私がケチをつけて、
「常識の延長には、常識の発想しか出てこないんだよ」
 と言うと、プランナーはムッとした顔をして、
「プロは常識の延長で考えるんです。絵空事なら子供でも言える」
 と切り返してきた。
 どうです?
 どっちも、もっともらしいでしょう?
 酒席で先輩が、
「目先の利害にこだわるな。そういうのを〝木っ端を拾って大木を流す〟と言うんだ」
 と説教するので、私は言い返した。
「でも、木っ端一つ拾えないような者が、大木なんか拾えんでしょう」
 あるいは、
「いいか、息を吸うには、ます吐くことが大事だ」
「でも」
 と私が言い返す。
「吐くためには、まず吸わなければならないのでは?」
「バカ者! そういうのを屁理屈と言うんだ」
 さて、どっちが「理屈」で「屁理屈」でしょう。
 説得術なんて、そんなものなのである。
 

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